通常、これらのレンズを購入する目的は無いと思う。それは、" ジャンクレンズ "だ!
ジャンク商品とは、中古製品でいうCランク(使用に難あり)よりも低いランクで使い物にならない廃棄同然の商品。これらの使い道は、既に製造が終了している製品の修理のための部品取りか、それとも自分で改造して楽しむくらいだろう・・・・・
ちなみに、今回購入した目的は、ワンランク上を目指したレンズ清掃を練習するため。けっして使用したくて購入した訳ではない。よって、メーカーや焦点距離など、どうでもよいと考えた。
そんな考えで、某カメラのキタムラへ直行した。
店内の一画には、網棚に入ったジャンクレンズが山盛りになっていた。
とりあえずチョイスしたのは、このレンズでした。
Cannon 「EF 28-80mm f / 3.5-5.6 II」
発売年月 1993年(平成5年)10月 当時の価格は 30,000円(たぶん・・・)
それと、USMではないようだ。リングもズームリングしかないと思ったら、前玉がフォーカスリングの役目になっていた。😨
ネットで調べてみると、フィルムカメラ時代の軽量の標準ズームレンズであることが分かる。 「EF 28-80mm f / 3.5-5.6V USMと同じ光学系、構造、外装を備えた標準ズームレンズ。」違いは、USMの代わりにDCモータを使用してAFを駆動とのこと。
埃は多めだがカビは無いようだ。ジャンクの中でもマシなレンズです。 1800円でゲットしました。
自宅に帰って・・・・
早速開封してみます。 クッション材に包まれているだけで、前玉キャップもなければ後玉キャップもないレンズむき出しの状態。
開封完了。ここから本格的に清掃作業に入ります。
ジャンクレンズの清掃は、鏡胴から始めます。
鏡胴清掃で準備する用品は、専用のクリーニングクロス(マイクロファイバークロス)とブラシです。間違っても、普通のタオルなどの使用は避けます。埃やゴミが混入する原因になりますからね!
ブラシは、ホームセンターなどで売っているブラシでもOK。写真のブラシは100円ショップで購入したもの。内1本は、短めに裁断し使い分けしている。
それと、写真に無いけどブロアーも準備してくださいね。
では、ブロアーで鏡胴周りのゴミを吹き飛ばします。
つづいて、専用のクリーニングクロスで拭き上げます。鏡胴を伸ばした状態で丁寧に・・・・
ここでは、まだレンズは拭きません。クロスでレンズを擦ると、キズが付いたり汚れが拡散するので鏡胴の拭き上げのみに留めます。
ズームリングやフォーカスリングなどの細かい部分は、ブラシを使用して埃やゴミを取り除いていきます。細部に入り込んだゴミは、短めのブラシだとかき出しやすいかも・・・・
鏡胴の掃除が終わったら、レンズクリーニングに移ります。
クリーニング方法を大きく区分すると乾式と湿式の2種類がありますが、今回は湿式方式でクリーニングします。これにはアルコール方式と界面活性剤方式がありますが、両方のクリーニング方式を準備しました。
まずは、アルコール方式で準備するものを紹介します。
定番ですが、通常レンズ清掃に使うのは無水エタノールです。ちなみに無水エタノールとは、ほとんど水分を含んでいない99.5vol%以上を含有する高濃度のアルコールで、水と油の両方の性質を持つことから水溶性の汚れにも油性の汚れ(若干)にも効果があります。ドラッグストアで簡単に購入できますよ。これ以外にも、堀内カラーのレンズクリーナーからもアルコール系のクリーナーが発売されています。いずれも、乾きが速いので、界面活性剤入りのクリーナーよりは拭き残りが目立たない特徴を持っている。(ただし、油性の汚れにエタノールを使用すると、"分解"ではなく"溶解"します。この状態を放置すると、アルコール成分だけが先に気化してしまい、溶解した油汚れはレンズ表面に薄く拡散したまま定着してしまう。その場合、拭き残りとして目立つ場合が良くあるので、蒸留水で拭き取る作業が必要です。)
また、オールドレンズをアルコールでクリーニングすると、レンズコーティングを痛める恐れがあるので、その場合、アルコールフリーの界面活性剤方式が良いかもしれませんね。ジャンクレンズには関係ない話ですが・・・・
これを、専用のハンドラップにいれて使用すると使いやすい。上部の受け皿のような部分を押すと、1回分のアルコールが出てくる仕組み。ちょっとネックなのが、吸い上げ口が短いのでエタノールの残量が一定量まで減ると、残量があるのに吸い上げられなくなる。そこで工夫したのが、写真のとおりハンドラップ内にビー玉を入れて水増しする方法である。効率良く使用するための知恵だね!
参考までにどうぞ・・・
続いて、界面活性剤方式で準備するものを紹介します。
今回は、富士フィルムから発売されている「レンズクリーナーキッド」を使用してみます。アルコールフリーで界面活性剤入りのクリーナー。いわゆる『洗剤』になります。
割り箸で自作した棒の使用方法を紹介します。
これは、クリーニングペーパーをこの棒に巻き付けて使用するもの。わざわざ、こんなもの使用せずに綿棒で十分という考えもあるだろうが、使いやすさはこれがベストなんです。
割りばしの中でも竹製を使用してます。先端をしゃもじのように平たく削って使いやすいように加工します。
この棒の先端にクリーニングペーパーを巻き付けるのだが、ペーパーには必ず裏と表があります。表側はツルツルしており、反面裏面はザラザラしています。使用するのはツルツルした面なので、この面が表になるよう写真のように折り曲げます。
折り曲げた合い間に棒を入れ込み、折り目の先端より5mm程手前で止めます。
そして、上からクルクル巻き付けます
こんな感じで巻き付けます。
棒の先に、5mm程遊びがあることを確認してください。遊びがないと、硬い棒の先端がレンズにあたるので傷をつける恐れがあります。
また、拭き上げる先端を手で触らないこと。手の皮脂をペーパーが吸ってしまうので、そんな汚れたもので拭いてしまうと、レンズ表面に皮脂汚れがガッツリ付着します。
同じ要領で3本ほど作ります。写真では、ペーパーが解けないようにクリップ止めしてますが、レンズを傷つける恐れもあるので、お勧めしません。
これで準備完了。
レンズに付着した汚れの質を確認する。
レンズを光源に当てて、レンズ表面をいろんな角度から見てみると、付着している汚れが確認できます。 付着しているのは、脂汚れ? それとも埃?
写真ではよく見えないようだけど、前玉にたくさんの埃と指紋が付着してます。内部は以外と汚れが無く、カビやくもりも無さそうです。
レンズ表面の埃をブロアーで取り除きましょう。
後玉にブロアーを吹き付けるときの注意点ですが、ズームレンズの場合、ズームリングを回すと後玉が鏡胴内に入ったり出てきたりします。鏡胴内に入った状態でブロアーを吹き付けると、埃がレンズ内に入り込む恐れがあるので、必ず後玉を出した状態で吹き付けること。
汚れが固着しているようなので、富士フィルムのレンズクリーナーキッドを使ってみましょう。
界面活性剤方式を使用する際に覚えていただきたいのが、レンズに直接垂らさないこと。クリーナーは間接的にペーパーへ付けます。たくさん付け過ぎると拭きムラができるので、あくまでも1滴から2滴程度で十分です。
一般的にはレンズの中心部から円を描くように拭き上げます。
拭き終えたペーパーで二度拭きしないこと!
★印からここまでの作業を、綺麗になるまで繰り返します。
後玉も同じ要領でクリーニングします。注意点は、後玉のキズや汚れは画像に影響を与えやすく前玉よりデリケートなので慎重に行います。
クリーニング完了!
固着していた埃や指紋は、すっかり無くなって綺麗なにりました。
後玉も綺麗さっぱりです。
マウント接続部の清掃
長期的に放置されていたであろうジャンクレンズですから、マウント接続部の汚れも気なります。
ここが汚れていると、ボディー側も汚れてしまうので清掃する必要性は大きいですね。
使用するのは、アルコールとクリーニングペーパー(超極細繊維ナノワイパー)です。
写真で使用しているのは、HCL DD PRO湿式クリーナーセットを使用しています。棒の先端には、コンパクトなクリーニングペーパーが付いてるものなので、レンズ清掃時の使用と同様の構造です。
先端にアルコールを付着させます。
吹き上げてマウント部の汚れを除去していきます。凹凸の中にも、ゴミも入り込んでいることを確認。
接続端子部においては要注意。通常、この部分に接触させるとトラブルの原因になるので避けましょう。汚れている場合は、綺麗なクリーニングペーパーに取り替えて軽く拭くくらいに留めます。
完 了
鏡胴もレンズも綺麗になりました。 清掃完了です。
早速、ボディーに取り付けて映写してみましょう・・・・・
EOS5D MarkⅢで試し撮り
それでは、こりジャンクレンズがどれほどのものか、テスト撮影してみました。
広角側開放F3.5で撮影。フィルム時代のレンズなので、高画素機の解像度には対応していないのは当然ですが、良好に映写できました。若干ですが周辺光量不足が気になるくらいでしょうか。
テレ側開放F5.6で撮影。周辺光量不足は解消されています。ソフトな仕上がりです。
F10に絞って撮影。さすがに解像度は高くないので、絞っても大きな改善は見られない。甘い感じの映写です。
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